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 SWOT分析(環境分析)


SWOT分析(環境分析)

 SWOT分析とは、自社の「機会(事業機会)」・「脅威(事業脅威)」、「強み」・「弱み」の4つの要因をクロス分析することで自社の成長戦略を創出するためのマーケティングツールです。

SWOT分析では、まず、マーケットリサーチで得たマクロ環境の情報によって、マクロ環境の動向が
ミクロ環境(業界環境)にどのような影響を与えるのか調査します。

そして、その影響が自社にどのような影響を与えるのか
ファイブフォースアナリスを行うことで、自社の

 
「機会」・「脅威

特定します

次に、
3C分析を行ってミクロ環境(業界環境)の成功要因を特定し、自社の内部環境(マーケティング環境、財務環境、製造環境、組織)と照らし合わせることから、自社の

 強み(strength)
 
弱み(weakness)

を特定します。

以上から、
自社に影響を与える4つの要因(SWOT要因)「機会」・「脅威」、「強み」・「弱みを特定します。

そして、特定したSWOT要因から、

 「機会」と「強み」「弱み」のクロス分析より
  自社が実行、克服すべき内容を決める

 「脅威」と「強み」「弱み」のクロス分析より
  自社が克服、回避、撤退すべき内容を決める

を決定し、
自社の成長戦略を創出します。


SWOT分析:クロス分析のマトリックス

概略的な説明ですが、SWOT分析は、このような内容と流れで行います。

また、SWOT分析の分析手順をまとめますと、

第1プロセス 4つの要因(SWOT要因)の特定
 1 
マクロ環境、ミクロ環境、内部環境の情報を収集する。
 2 
ファイブフォースアナリスよりミクロ環境の「機会」「脅威」を特定する
 3 3C分析、自社の内部環境の照合から自社の「強み」「弱み」を特定する

第2プロセス SWOT要因のクロス分析
 4 「機会」と「強み」「弱み」のクロス分析から
    自社が実行、克服すべき内容を決める
 5 「脅威」と「強み」「弱み」のクロス分析から
    自社が克服、回避、撤退すべき内容を決める

第3プロセス SWOT分析結果のプロット
 6 1〜5より、自社のポジショニングマップ、戦略ロードマップ等を作成し、自社の成長戦略を決定する

この3つのプロセスで行います。

このようにしてSWOT分析を行うことで、自社の現状、将来を把握して
自社が実行すべき内容」、自社が克服すべき内容」、「自社が回避、撤退すべき内容」を決めて自社の成長戦略を決定します。

では、実際にSWOT分析を事例で見て行きましょう。


SWOT要因「機会」と「脅威」の特定

 例えば、今、仮にP社は放送業界で放送機器を製造販売しているとします。現在、放送業界では50年間続いた地上波アナログ放送が2011年までにデジタル放送に全面移行する計画です。

このデジタル放送への全面移行は、今後、新しい様々なニーズを生みだし、様々な業界に大きな「機会」と「脅威」を発生させます。

そこで、P社はマーケットリサーチを行い
マクロ環境(政治環境、経済環境、社会環境、技術環境、デモグラフィック環境、自然環境)の動向がP社にどのような影響を与えるか調査・分析しました。

その
結果、P社ではデジタル放送に必要不可欠な製品を作るために必要なP社が独占できる独自の技術が活かせることがわかりました。つまり、P社にとってデジタル放送への全面移行は、千載一遇の「機会」になります。

しかし、その反面、アナログ放送機器しか作れない企業やP社のアナログ放送機器は、堪え難い「脅威」が訪れたことになります。

そこでP社は、今後、業界がどのように変化し、P社のポジションはどう変化するのかファイブフォースアナリスを行うことで業界環境でのP社の
「機会」と「脅威」を特定することにしました。


SWOT要因「強み」と「弱み」の特定

 ファイブフォースアナリスを行って「機会」と「脅威」を特定したP社は、次に顧客、P社、競合他社の情報から3C分析を行う事で成功要因を特定し、成功要因とP社の内部環境(マーケティング、財務環境、製造、組織)の情報を照らし合わせることで、P社の「強み」、「弱み」を特定しました。


SWOT分析「機会」と「強み」・「弱み」(クロス分析)

 次にP社は、「機会」とP社の「強み」と「弱み」を組みあわせて考え、

 1 P社の「機会」とP社の「強み」には、どんな可能性があるか?
   (市場での
P社の競争優位性や将来性)

 2 
P社の「機会」とP社の「弱み」には、どんな可能性があるか?
   (市場での
P社の課題)

を分析・評価し、
P社が実行、克服すべき内容を特定します。


SWOT分析「脅威」と「強み」・「弱み」(クロス分析)

 
P社は、「脅威」とP社の「強み」と「弱み」を組みあわせて考え、

 1 P社の「脅威」とP社の「強み」には、どんな可能性があるか?
   (脅威に対して、どのような解決策があるのか?)

 2 P社の「脅威」とP社の「弱み」には、どんな可能性があるか?
   (P社は本当にやっていけるのか?)

を分析・評価し、P社が克服、回避、撤退すべき内容を特定します。


SWOT分析から方向性を決定

 このようにして、「機会」・「脅威」、「強み」・「弱み」の各項目を組みあわせてクロス分析した結果、P社は、新しいマーケットでも競争優位な条件を既に備えていたことが判ったとします。

そうなると、もう言うまでもありません。P社は、既存マーケット、新しいマーケットでの自社の目標を設定し、アクションプランを検討して実行することになります。

このようにして、SWOT分析ではマクロ環境(社会全体)やミクロ環境(業界)の外部環境の動向から自社の事業機会、事業脅威を特定し、特定した「機会」、「脅威」と自社の「強み」、「弱み」を照合して自社の将来を予測し、自社の今後の成長戦略を決めます。

 ※このページは、弊社がマーケティング研修でも使用しているテキストの一部を流用してウェッブサイト用に編集したものです。

 
SWOT分析のスキルを身につけたいと御考えの方は、SWOT分析の「テキスト」または、「セミナー」を御参照ください。


SWOT分析の用語、分析の解説


外部環境
SWOT分析の外部環境とは、

 1 
マクロ環境(業界を取り巻く環境)
 2 ミクロ環境(業界内の環境)

の2種類の環境です。

外部環境のマクロ環境と分析手法
マクロ環境(業界を取り巻く環境)とは、
 
 1 政治環境(Political)
 2 経済環境(Economic)
 3 社会環境(Social)
 4 技術環境(Technological)
 5 デモグラフィック環境(統計的な特性)
 6 自然環境

の6つの環境を指します。
SWOT分析では、一般的にこの6つの環境の調査・分析をしますが、PEST分析(政治環境、経済環境、社会環境、技術環境)で、トレンドだけを調査・分析することもあります。

PEST分析とは、PEST環境の変化から市場にどのようなトレンド(トレンド(中期)、メガトレンド(長期))が出来上がり、そのトレンドが自社にどのような「機会(事業機会)」・「脅威(事業脅威)」をもたらすか判断し、その要因を特定する分析です。

また、一般的に
「機会」は、「魅力度」、「成功率」でクロス分析する機会マトリックスを使って特定し、「脅威」は、「深刻度」、「発生確立」でクロス分析する脅威マトリックスを使って特定します。

デモグラフィック環境とは統計的な特性のことで、性別、年齢、住所、職業、学歴、所得などのことです。

ファイブフォースアナリス
業界の参入セグメント(市場)でのファイブ・フォースアナリス(5つの力の分析)とは、

 1 新規参入業者の力
 2 代替品の力
 3 買い手の力
 4 売り手の力
 5 競合他社の力

 


この5つの力を分析して、自社が競争優位になる戦略を特定する分析ツールです。ミクロ環境の分析では、この5つの力から発生する「機会」・「脅威」を特定することが目的です。

ファイブフォース分析(ファイブフォースアナリス)の詳細は「競争の戦略」を御参照ください。

外部環境のミクロ環境と分析手法
ミクロ環境(業界内の環境)とは、

 1 顧客(市場)(Customer)
 2 競合他社(Competitor)
 3 自社(Company)

の3つの環境(3C環境)を指します。3C分析は、ミクロ環境(業界内の環境)での成功要因を特定するための分析です。3C分析の詳細は「3C分析」を御参照ください。

内部環境(自社の経営環境)
 内部環境とは、自社の

 1 マーケティング環境
 2 財務環境
 3 製造環境
 4 組織環境

の4種類の環境です。

内部環境の分析手法
 内部環境の分析では、市場の成功要因に対して自社の内部環境がどのような「強み」、「弱み」を持っているか分析し、評価する事が
目的です。

また、自社の「強み」・「弱み」は、ミクロ環境(業界内の環境)の成功要因に対して自社の「マーケティング」・「財務」・「製造」・「組織」の環境と「成果」・「重要度」を照らし合わせたチェックリストで分析、評価します。


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